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前橋地方裁判所 昭和61年(わ)100号 判決

本籍

群馬県沼田市戸神町七五九番地

住居

右同

会社役員

春日勇吉

大正六年一一月二八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官森川大司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三、五〇〇万円に処する。

被告人において右罰金を完納することができないときは、金五〇、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、群馬県沼田市戸神町七五九番地において蒟蒻粉の製造・販売等を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和五七年分の総所得金額は四、七一六万八、〇〇〇円で、これに対する所得税額は二、二二六万九、三〇〇円であるのに、仮名預金を設定するなどして所得を秘匿した上、昭和五八年三月四日、群馬県沼田市十王堂一、九一〇番地二沼田税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五〇〇万円で、これに対する所得税額が六二万六、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額二、一六四万三、一〇〇円を免れ、

第二  昭和五八年分の総所得金額は一億六、七二七万二、八一九円で、これに対する所得税額は一億一、〇二三万七、一〇〇円であるのに、前同様の方法で所得を秘匿した上、昭和五九年二月二二日、前記沼田税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、二〇〇万円で、これに対する所得税額が二九三万九、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額一億七二九万八、一〇〇円を免れ、

第三  昭和五九年分の総所得金額は五、五二四万八、一二九円で、これに対する所得税額は二、五五一万七、二〇〇円であるのに、前同様の方法をとる一方、公表帳簿に売上の一部を記帳せず、かつ、架空仕入を計上するなどして所得を秘匿した上、昭和六〇年三月二日、前記沼田税務署において、同税務署長に対し、みなし法人課税方式を選択してみなし法人所得額二七九万八、〇〇〇円で、総所得金額が八三六万七、六四〇円であり、これに対する所得税額が九三万三、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額二、四五八万三、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  被告人の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書。以下同様)二一通(昭和六〇年一二月一九日付のものを除くその余の全部)

一  沼田税務署長作成の証明書二通

一  春日政志の大蔵事務官に対する昭和六〇年一〇月一六日付、昭和六一年一月二九日付及び同年二月六日付各供述調書

一  右同人の検察官に対する供述調書

一  坂詰忠夫の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の売上調査書

一  右同仕入調査書

一  右同期首棚卸高調査書

一  右同租税公課調査書

一  右同荷造運賃調査書

一  右同水道光熱費調査書

一  右同旅費交通費調査書

一  右同通信費調査書

一  右同広告宣伝費調査書

一  右同接待交際費調査書

一  右同損害保険料調査書

一  右同修繕費調査書

一  右同消耗品費調査書

一  右同減価償却費調査書

一  右同福利厚生費調査書

一  右同給料賃金調査書

一  右同利子割引料調査書

一  右同地代家賃調査書

一  右同車両費調査書

一  右同燃料費調査書

一  右同外注費調査書

一  右同雑費調査書

一  右同事業専従者控除調査書

一  右同利子所得調査書

一  右同譲渡所得調査書

一  右同雑所得調査書

一  右同現金調査書

一  右同預貯金調査書

一  右同受取手形調査書

一  右同債券調査書

一  押収にかかる歩止り帳一冊(昭和六一年押第四一号符号8)

一  右同小手帳一冊(右同押号符号9)

一  右同乾燥日誌一冊(右同押号符号10)

一  右同仕切書五綴り(右同押号符号11の1ないし5)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(自57・1・1至58・12・31のもの)

一  押収にかかる歩止り帳一冊(前同押号符号7)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自57・1・1至57・12・31のもの)

判示第二及び第三の各事実につき

一  押収にかかる元帳一綴り(前同押号符号6)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(自58・1・1至58・12・31のもの)

一  右同脱税額計算書(自58・1・1至58・12・31のもの)

判示第三の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和六〇年一二月一九日付供述調書

一  春日政志の大蔵事務官に対する昭和六一年二月一七日付及び同年三月六日付各供述書

一  春日シゲ子の大蔵事務官に対する昭和六〇年一二月二四日付供述調書

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書(自59・1・1至59・12・31のもの)

一  右同脱税額計算書(右同)

(法令の適用)

罰条

所得税法二三八条一項、二項(一二〇条一項三号)(各事実につき)、(各罰金併科)

併合処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき)、四八条二項(罰金刑につき)

換刑処分

同法一八条一項(罰金刑につき)

執行猶予

同法二五条一項一号(懲役刑につき)

(裁判官 小林宣雄)

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